大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和27(あ)5872 判決

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

被告人の上告趣意(追加分とも)(後記)について。

所論は多岐にわたつているが、憲法違反又は判例違反を主張する部分については、

これらの諸点は控訴趣意としてまつたく主張されず(控訴趣意はもつぱら量刑不当

の主張であつた)、従つて原判決がなにも判断を示していない事項についての非難

であるから、適法な上告理由といえないし、その余の論旨は、単なる刑訴法違反又

は事実誤認、量刑不当の主張に帰し、刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。

のみならず、

(一) 記録を詳細に調べても、被告人の中村副検事に対する自白が、強制、拷

問、脅迫によるものであることをうかがわせるような資料はまつたくない。被告人

は当審にいたつてはじめてこのような主張をしているのであつて、第一審及び原審

を通じて、被告人側からこれに類する主張がされたという形跡はすこしもみられな

い。被告人の各自白調書についても、第一審公判で被告人及び弁護人は異議なくこ

れを証拠とすることに同意しているのである。

(二) 第一審判決は、被告人の犯罪事実を、被告人の第一審公判廷における自

白、司法警察員及び副検事に対する各自白調書のほか第一審相被告人Aの公判廷及

び公判廷外の自白、被害者Bの供述調書、その隣人Cの供述調書、医師の変傷届、

司法警察員の実況見分調書、領置された細引と酒瓶を綜合して認定しているのであ

つて、被告人等が被害者を殺して金をとることを共謀したという点についても、被

告人の自白だけでこれを認定しているのではない。(右のような犯罪の主観的部面

については、仮りにこれを被告人の自白のみによつて認定したとしても、憲法三八

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条三項、刑訴三一九条二項に反するものでないことは、当裁判所のくりかえし判例

とするところである。昭和二三年(れ)七七号同二四年五月一八日大法廷判決、集

三巻六号七三四頁参照)。

(三) 被告人の中村副検事に対する供述調書には、あらかじめ供述を拒む事が

できる旨を告げて取調べたことが記載されているし、右調書を証拠とすることにつ

いて、被告人側から何等異議が述べられなかつたことは、前記のとおりである。

(四) 記録によると、控訴趣意書提出最終日は適法に被告人に対して通知され

ていることがわかる。

(五) 所論援用の昭和二五年(れ)一二四二号同二六年八月一七日当裁判所第

二小法廷判決(集五巻九号一七八九頁)は、本件の場合に適切ではない。

(六) 記録を詳しく調べても、所論の各事項について、第一審判決に事実誤認

があるとは認められない。

(七) その他所論の各点につき刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。

弁護人坂田幸太郎の上告趣意(後記)について。

第一点

所論は単なる刑訴法違反の主張に帰し、刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。

(のみならず、昭和二六年一一月二〇日最高裁判所規則第一五号(同二七年二月一

日施行)による改正後の刑訴規則四四条は、右改正前の同条と異り、所論の事項を

公判調書の当然の記載事項とはしていないのである。従つて公判調書にその記載が

ないということは、刑訴二九一条二項、判訴規則一九七条の定める告知がなされな

かつたことを推定する資料にはまつたくならない。)

第二点について。

量刑不当の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。

よつて刑訴第四〇八条、一八一条に従い裁判官全員一致の意見で主文のとおり判

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決する。

昭和二八年四月一四日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

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